世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群デジタルアーカイブス

文字サイズ 標準 特大
背景色

宗像地域の文化財

  • 古代の東アジアでは、権力者や地位の高い者の墓として、土を盛り上げた「墳丘」が築造されました。わが国では、3世紀後半から7世紀前半に築造されたものを「古墳」、それ以前の弥生時代につくられたものを「墳丘墓」と呼んで区別しています。円墳は古墳の基本的な形で、あまり大きくはありませんが、数はもっとも多く、日本全国に分布しています。/
名称 平等寺瀬戸遺跡
種別
所在地 宗像市平等寺332
形態
調査年
保存状況
出土遺物
時期
説明 古墳時代後期にあたる六世紀後半ごろに築造された円墳二基と小石室五基からなる古墳群です。
 このうち一号墳は、直径二十m、高さ五mほどの円墳で、東側に馬の蹄鉄のような形をした溝(馬蹄形溝)を巡らしています。
 死者を葬るための内部主体は、前後二つの部屋を持つ複室構造を持つ石室で、円錐形に盛り上げられている円墳の横方向から石室へ向けて墓道をつなぐ「横穴式石室」と呼ばれる形式です。
 石室は長さ約十mで、後室の奥壁には板状に細長い石材を棚のようにはめ込む「石棚」が作り付けられているのが特徴です。「石棚」は、重要な古墳に採用される構造で、また、その雨だれ部分には「石障」と呼ばれる石列を並べ、死者を安置する空間を分離する構造となっています。このような構造は、筑後川流域や有明海沿岸に広がりを見せるもので、本古墳からも、桜京古墳と同様、有明海沿岸地域との交流をうかがうことができます。
 宗像地域周辺で石棚がつくられた古墳は、石室に装飾が施されたり、金銅で飾った鞍、馬の尻尾の付け根を飾る金銅の雲珠など、豪華な副葬品を持つことが多いのですが、本古墳からも、国内最大級の金銅製馬鈴をはじめ、金銅製の鞍金具や鐙、雲珠、鞘尻金具など、豪華な副葬品が出土しており、地域において重要な位置を占めていたであろう被葬者の権威と勇姿がしのばれます。
 本古墳は、平成五年(一九九三)に市の指定史跡となりました。翌平成六年(一九九四)には保存・整備が行われ、講座や体験学習の場として活用されています。
法量・規模・面積
所蔵
参考文献 宗像市 2009『宗像遺産 文化遺産編』
図録ページ