世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群デジタルアーカイブス

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宗像地域の文化財

  • 仏教では、極楽浄土には上品・中品・下品の位があり、また、それぞれに上生・中生・下生の等級があると考えます。これを「九品」といいます。/
名称 平山の阿弥陀如来立像
種別
所在地 宗像市吉留985 大師堂
形態
調査年
保存状況
出土遺物
時期
説明 かつて寺小屋として用いられたとされる平山の大師堂に安置されている阿弥陀如来立像で、高さ九十五・七cm、檜材を用いた寄木造です。
 寄木造は、頭体部を通じた体幹部を数材から彫り出し、胎内を刳り貫いたのちに接ぎ合わせる技法です。仏師が分業して効率的に仏像を制作することができる利点があり、わが国では平安時代中期の十世紀後半から始まり、十一世紀中ごろの仏師定朝(?〜一〇五七)のころに完成期を迎え、「定朝様」と呼ばれるようにもなりました。
 本像の場合は、頭部と体部の材料は一つの材ですが、耳の後ろで前後二つに分かれ、首部でさらに頭と胴体に分かれます。これに両肩の部分が加わり、大きく六つの部分で成り立っています。木材の乾燥によるひび割れや湿気による歪みなどを極力防ぐために、内刳(木材の芯を刳り貫く技法)が施されています。
 現在は、素地の白木だけになっていますが、像の表面には漆に金箔を貼った痕跡が認められ、造立当時は金色に輝くきらびやかな姿であったことがうかがえます。像全体は丸みを持ち、緩やかな起伏の体に浅く繊細な衣文を表す穏やかな表現は、定朝様式の彫刻技法を踏襲したものと考えられます。像の手の所作は、親指と人差し指をつないで輪に結ぶ「上品」の形をとり、右手を胸前にして指先を上に、掌を正面に向け、左手は指先を下にして掌を正面に向ける「上品下生」の印を結んでいます。いわゆる「来迎印」といわれるもので、本像のように金色に輝いたであろう阿弥陀如来の姿は、見る者を極楽浄土の世界へ誘うようにも見えたと思われます。
法量・規模・面積
所蔵
参考文献 宗像市 2009『宗像遺産 文化遺産編』
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