宗像地域の文化財
名称 |
八所神社木造十一面観音立像 |
種別 |
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所在地 |
宗像市吉留3122 長宝寺観音堂 |
形態 |
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調査年 |
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保存状況 |
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出土遺物 |
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時期 |
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説明 |
本像は、八所神社の境内の一角にある長福寺観音堂(長宝寺)の主尊として安置されている木造十一面観音立像です。 『筑前國続風土記拾遺』には、「むかし、長宝寺という寺跡であろう。本尊観世音菩薩は、長さが四尺ばかりで、銅像で秘仏であるという」と記録されていますが、現存する仏像は木造のものです。 頭の頂には、髪を高く束ねる髻(宝髻)を結び、その周りには、仏の顔を刻んだ化仏を配する穴が開いていて、頭上に十一面の顔があったことをうかがわせます。 頭の頂から台座まで楠の一材を用いる一木造という古風な技法でつくられています。この一木造は、木材の芯になる部分を刳り抜かずに使用すると、材に割れや歪みが生じる要因となるため、普通は芯の部分を刳り抜いた後に二材をはりあわせる「割り剥ぎ」の技法が採られますが、本像にはこの技法は見られず、まったく材を刳り抜かない珍しい造りとなっています。 これは、地方的な技法で刻まれたとする考えや、ご神木などの貴重な部材を使用したために、材を大事に扱い、最大限の部材割りをしたことなど、さまざまな要因が考えられます。 顔も衣文も強くシノギたつ彫法でつくられています。この彫刻技法や風貌などは、鞍手町の長谷寺に安置されている十一面観音像との共通点が見られ、平安時代前期につくられたものと思われます。 「観音」は「観世音」の略で、世の中のすべてを観、すべてを聞くことを意味し、「菩薩」は、悟りを求め、人々の煩悩や窮状を解放し、絶対的な静寂の世界に救い上げることを自らの修行として誓願し、実践する仏とされます。特に十一面観音は、十一の顔を表現することにより、世の中の四方八方を見渡し、より早く、より多くの衆生の窮状を感知し、救いの手を差しのべてくれることを願った人々の思いから生まれた観音です。また、本像のような観音菩薩は、阿弥陀如来の化身とされ、今も多くの人々の信仰を集めています。総高百四十七・五cm。 |
法量・規模・面積 |
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所蔵 |
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参考文献 |
宗像市 2009『宗像遺産 文化遺産編』 |
図録ページ |
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