世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群デジタルアーカイブス

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宗像地域の文化財

  • 奥の院の本尊である不動明王は、仏典によると大日如来の使者として登場し、やがて通常の説法では教化し難い衆生を救うために念怒の姿を仮にあらわしたものといわれています。/
名称 鎮国寺線刻釈迦如来石仏
種別
所在地 宗像市吉田966 鎮国寺
形態
調査年
保存状況
出土遺物
時期
説明 鎮国寺の奥の院にある線刻の石仏です。奥の院は、岩壁をとり込んで立てられていますが、ここは「霊鷲崛」と呼ばれ、修験の道場として使われてきた場所です。修験とは、山野において霊験を得るための修行をいいます。もともとは、日本古来の山岳信仰に基づくもので、山中の修行によって呪力の獲得をめざしましたが、のちに自然との一体化による即身成仏が重視されました。
 そんな修験の名残りをとどめる奥の院は不動明王を本尊としています。岩窟の奥壁には、高さ六十cm、幅八十二cmの砂岩の自然石がはめ込まれています。石の表面には中央に釈迦如来像、左右に八大龍王が刻まれています。これは、釈迦が『請雨経』を説き、それを水神である八大龍王が聞くという構図を取っています。
 上部と両側には銘文があり、弘長三年(一二六三)六月十二日から、後に鎮国寺の院長となる僧皇鑒が、雨乞いの法要を始め、十四日に雨が降ったことや、願主として浄心、勧進比丘尼酉蓮、徒衆、絵師などの名が合わせて刻まれています。
 尊像をかたどる刻線は簡明で力強く鎌倉時代の遺物として貴重なものです。
法量・規模・面積
所蔵
参考文献 宗像市 2009『宗像遺産 文化遺産編』
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