世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群デジタルアーカイブス

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宗像関連古文書・史料

  • 宗像大神宮神官・僧官・御灯衆等連署起請文/
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文書群名 宗像家文書
文書番号 1
文書名 宗像大神宮神官・僧官・御灯衆等連署起請文
和暦 文永九年九月三日
西暦 1272年 9月 3日
本文 (題箋)「宗像大神宮神官僧官等起請文〈文永九年九月三日〉」
              (端裏)「文永□」
宗像太〔大〕神宮神官・僧官・御灯衆等起請、
 当宮第三太〔大〕神宮長日不断香油、自今以後本主率法致懈怠時者、一味同心可致沙汰事
右、謹検案内、当神者降伏異国之大将、鎮護国家之霊神也。爰去大治年中大宮司氏房朝臣社務之時、以当宮領須恵村奉寄進第三太〔大〕神宮長日不断香油料所、嫡男氏成相伝可致沙汰也。将来有牢籠之時者、末代宮司等不致沙汰不可点〔黙〕止之由、彫付彼寄進状於御神殿柱、以鉄作盞、同以被籠置御神殿、移叡山根本中堂之火奉備長日不断香油灯明所、送数百歳之星霜也。神明之荘厳、社家繁昌、職而有此。而近年先名主武藤木工助入道、背所被定置之鉄盞率法、被現不法之間、連々雖相触之、無承引。凡神事之怠慢者、社中衰弊之濫觴也。社中衰弊者、国王災難之根元也。神官・神民不可不歎。仍蒙社家裁断擬致沙汰之析境。今被改替彼名主職、被下遣御使池田左衛門尉兼頼之間、検申先例之日、忽伏理、申出氏房記文并鉄盞、加見知致信心、自今以後者、以彼盞、云香、云油、可有備進之旨、被進置文之間、被加社務御判畢。□〔是〕偏神慮之令然歟。向後或不用本寄進状并鉄盞率法器、或背今置文、任自由有懈怠之時者、且致譴責、且点定料田、致丁寧之沙汰、任本願主之素意可奉備進件香油。若神官・僧官等不致一味同心之沙汰者、日本国土本主天照太〔大〕神・同御子宗像三所太〔大〕神宮・織幡大明神・許斐権現部類眷属神五千九百一十九所〈乃〉御神罰〈乎〉可蒙連暑〔署〕衆等身中之状、所請起請文如件。
  文永九年九月三日
       御灯
        僧清尋(花押)
        僧幸祐(花押)
       僧官
        僧覚秀(花押)
        僧湛慶(花押)
        僧禅祐(花押)
        僧幸心(花押)
        僧安慶(花押)
        常達舜盛(花押)
        寺主禅慶(花押)
        権少別当安舜(花押)
        権上座禅澄(花押)
        権大検校大法師源秀(花押)
        権寺主行秀(花押)
        上座朗円(花押)
        検校大法師良増(花押)
        修理少別当覚仁(花押)
        検校大法師仁恵(花押)
        検校大法師性円(花押)
        座主良兼(花押)
        学頭円秀(花押)
       神官
        権擬少宮司兼御馬所別当宗倫(花押)
        権擬少宮司安倍光経(花押)
        擬少宮司藤原資長(花押)
        擬少宮司藤原致康(花押)
        宣命祢宜藤原致継(花押)
        権少宮司平長実(花押)
        権少宮司大中臣長経(花押)
        権少宮司宗形氏黒(花押)
        忌子祢宜
        少宮司大中臣経実(花押)
        少宮司宗形氏秀(花押)
        権擬大宮司宗形氏頼(花押)
        権擬大宮司宗形氏廉(花押)
        擬大宮司宗形氏連(花押)
        擬大宮司平季盛(花押)
        権大宮司宗像
読み下し 宗像大神宮神官・僧官・御灯衆等起請、
 当宮第三大神宮長日不断香油、自今以後本主率法懈怠を致す時は、一味同心沙汰を致すべき事
右、謹んで案内を検するに、当神は降伏異国の大将、鎮護国家の霊神なり。爰に去る大治年中大宮司氏房朝臣社務の時、当宮領須恵村を以て第三大神宮長日不断香油料所に寄進し奉り、嫡男氏成相伝沙汰を致すべきなり。将来牢籠の時あらば、末代の宮司等沙汰を致さず、黙止すべからざるの由、彼の寄進状を御神殿の柱に彫り付け、鉄を以て盞を作り、同じく以て御神殿に籠め置かれ、叡山根本中堂の火を移し長日不断香油灯明所に備え奉り、数百歳の星霜を送るなり。神明の荘厳、社家繁昌、職として此にあり。而るに近年先の名主武藤木工助入道、定め置かるる所の鉄盞率法に背き、不法を現わさるるの間、連々これを相触ると雖も、承引なし。凡そ神事の怠慢は、社中衰弊の濫觴なり。社中衰弊は、国王災難の根元なり。神官・神民歎かざるべからず。仍つて社家の裁断を蒙り、沙汰の析境を致さんと擬す。今被の名主職を改替せられ、御使池田左衛門尉兼頼を下し遣わさるるの間、先例を検じ申すの日、忽ち理に伏し、氏房の記文并びに鉄盞を申し出で、見知を加へ信心を致し、自今以後は、彼の盞を以て、香と云ひ、油と云ひ、備進あるべきの旨、置文を進めらるるの間、社務の御判を加へられ畢んぬ。是偏へに神慮の然らしむるか。向後或いは本寄進状并びに鉄盞率法の器を用いず、或いは今の置文に背き、自由に任せ懈怠あるの時は、かつうは譴責を致し、かつうは料田を点定し、丁寧の沙汰を致し、本願主の素意に任せ件の香油を備進し奉るべし。若し神官・僧官等一味同心の沙汰を致さざらば、日本国土本主の天照大神・同御子宗像三所大神宮・織幡大明神・許斐権現部類眷属神五千九百一十九所の御神罰を連署衆等の身中に蒙るべきの状、起請文に請ふ所件の如し。
  文永九年九月三日
       御灯
        僧清尋(花押)
        僧幸祐(花押)
       僧官
        僧覚秀(花押)
        僧湛慶(花押)
        僧禅祐(花押)
        僧幸心(花押)
        僧安慶(花押)
        常達舜盛(花押)
        寺主禅慶(花押)
        権少別当安舜(花押)
        権上座禅澄(花押)
        権大検校大法師源秀(花押)
        権寺主行秀(花押)
        上座朗円(花押)
        検校大法師良増(花押)
        修理少別当覚仁(花押)
        検校大法師仁恵(花押)
        検校大法師性円(花押)
        座主良兼(花押)
        学頭円秀(花押)
       神官
        権擬少宮司兼御馬所別当宗倫(花押)
        権擬少宮司安倍光経(花押)
        擬少宮司藤原資長(花押)
        擬少宮司藤原致康(花押)
        宣命祢宜藤原致継(花押)
        権少宮司平長実(花押)
        権少宮司大中臣長経(花押)
        権少宮司宗形氏黒(花押)
        忌子祢宜
        少宮司大中臣経実(花押)
        少宮司宗形氏秀(花押)
        権擬大宮司宗形氏頼(花押)
        権擬大宮司宗形氏廉(花押)
        擬大宮司宗形氏連(花押)
        擬大宮司平季盛(花押)
        権大宮司宗像〔資氏ヵ〕
大意 宗像大神宮の神官・僧官ら、当宮第三宮の長日不断香油につき、今後、本主武藤覚念(為頼)がその進納を怠慢した場合は、一味同心してそれを進納するよう沙汰する旨、連署して起請文を成す。
紙質 楮紙
寸法(縦) 33.1cm
寸法(横) 185.1cm
備考 四紙継ぎで、横は第一紙から順に53.1cm、53.8cm、54.0cm、53.8cm。
出典 『宗像大社文書』第2巻