宗像関連古文書・史料
文書群名 |
八巻文書第6巻紙背 |
文書番号 |
|
文書名 |
古能台本 |
和暦 |
(年未詳)
|
西暦 |
年 月 |
本文 |
(168号文書裏) 「行キ見給□ト有ケレハ夢サメテ、賎見給フニ大ナル光リサス、コゝニ優婆塞申給テ経行ス、奇異ノモノナリトテ、此山ノ名ヲトヒ給フニ、サゝナミ長□(ナカラ)ノ山ト云テ失ヌ、軈テ其儘ニ伽藍ヲ立ラレ候、カゝル子細モ候ヘバ、定テ奇瑞モアルヘク候、心静ニ御待候ヘ。 応答 老人老女二人出ヘシ、 小哥 夫、邯鄲ノ枕ノ夢ニハ、仙女チトセヲ重丁固ハ夢ニ松ヲミテ、十八公ノ栄ヲアラハス、我モ此時見ル夢ノサムル枕ニ、身ノイヤシサモ打ワスレ、御門ニ奏シ申サントテ、ハル〓是マデ参内ス、所ハ大内ヤ、雲林ノ月モイサキヨヨ夜半ノ詠ニ、残ルテフ昔ノ夢ハシノハシヤ、忍〓ニ待タエテ衣ヲカエス暁ハ、夢〓□応シタルラン、猶夢ノハリナキハ、嵐ニマヨフ花ノ夢、三吉野の春モ夢ナレヤ、夢ノ世ヲイトフヘキ身ノイタツラニ老ハテ候、今此御代ニ近江ナル比良ノ山風イマヨリハ、都ノヘタテヨモアラシ、 老人」 (171号文書封紙裏) 「 奏聞申候、 臣 アヤシキ老人来テ奏モンセント申候、立出承ヘク候、ソモ何事ニ□〔テ〕候ソ、 老人 カ様ニイヤシキ身ニテ申モ、其憚ニ候ヘ共、霊夢ノ子細候間、参内仕テ候、 臣 ケニモイヤシキ其様ナリ候者、霊夢ノ子細候間、委奏モン申候ヘ、 老人 サン候、天皇伽藍ヲ建立セントヲホシメサレ候、雖然、砂金ナキニヨテ未事行候歟、先近江ノ国湖水ノ西ニ霊崛アリ、是ニ伽藍ヲ立給テ砂金ヲ祈誓アルナラハ、疑ナク諸国ヨリ備ヘ申ヘキ由瑞夢アラタニ候、其シルシヲ見セ奉ランカ為ニ、下野ノ国ヨリ先初テ砂金ヲ持テ参候、 臣 サテハ不思儀(ママ)ノ子細候ケル、イソキ近江国ニ下向シテ勝地ヲ求候ヘク候、カ程奇特ノ□□〔夢ノ〕[ ]」 (171号文書裏) 「……[ ]□□〔ス候〕、□□〔猶モ〕[ ]…… 君ノ御願ノ起像ヲモ存知候者、委語給候ヘ、 女 上﨟タチノシラセ給ハヌ御事ヲハ、イカテ賎キ身ノ存候ヘキ、 臣 賎様ニハヨルヘカラス、ハヤ〓語給ヘシ、 老人 サラハ語テ聞セ申候ンサン候、良弁僧正ト申ハ、先生宸旦国ノ修行ノ僧ニテ、御渡候シカ、求法ノ為ニ舎衛国ニ趣給フ、流砂ヲ渡ラントスルニ、功銭ナクシテ数月遅留ス、其時天皇ハ流砂川ノ渡守ニテ御座候シカ、傭賃ヲカエリミス、修行ノ僧ヲ御渡候、其恩ヲ報センカ為ニ、将来ニ国王ニ生給ヘトフカク祈誓ヲイタス、其念力ヲ以テ、今、日域ノ王位ニソナハリ給フ、記像ナヲ書サルニヨテ、[ 」 (168号文書封紙裏) 「 給フコソカタシケナフ存候ヘ、 臣 サレハコソ、面々ハタタ人ニテハ候ハス(ネと傍訂)、名字ヲ語給ヘシ、 老女 カ程イヤシキ老カ身ニ、ナニノ名字ノ候ヘキ、在所ヲシラントヲホシメサハ、サゝナミノヤ比良ノ山道フミワケテ大石ノアタリニ其シルシ候ヘシ、名字ヲ申サン事ハ、ケニ思ヨラスヤ、サゝ浪ノ立帰ヘキ道遠ミ、暇申テ都人又トハカリノタノメ哉、 臣 カゝル不思儀(ママ)ノ子細コソ候ハネ、如何様ノ神員ノ化現カト存候、猶モ事ノ子細ヲ御待候ヘ、 男女五六人モ金ヲ持テ出ヘシ、 ハヤシ スヘラキ(ノ?)〓御代サカエント□〔楽カ〕ナル、」 (170号文書裏) 「 ミチノク山ニ金花サトハ、目出キ時代ヤト、トレ共ツキス、ハコヘ共ツキセスヤ、此金ヲ君ニ奏シ申サン〓、山吹ノ花色、黄菊ノ露ノ玉、金ヲソゝク村雨ノ菊水モ、是ナリヤ。チトセヲタモチツツ、コレ〓備申サン、砂金モチテ参テ候、コレ〓ヲサメ申、 臣 是ハイツクヨリ参テ候ソ、 下野国ヨリ参テ候、 臣 サレハコソ、老人ノ申候シ事スコシモチカヒ候ハネ、是ニ付テモイソキ近江ノ国ニ御成申候テ、勝地ヲ御覧アルヘク候、 言語道断、道スカラナント、アイシライ有ヘシ、 臣 ヤ、コゝニ大石ノ候上ニ、釣ヲタレ□〔タカ〕ル風情候、是ニソ有ツル、老人ノ本所ト覚候ヘ、是ニテ御祈誓アルヘク候、 小哥 去モ大和ノ国金峰山ハ、是黄金ノ地タルニヨテ、金ヲ祈ル此御代ノ影スナヲナル政イカテ感応ナカルヘキト、憑ヲカクル諸人ノ祈誓ヲイタス験シニヤ、金剛像王ノ告アル事ソタノモシキ、抑当山黄金ハ、慈尊出世ノ為ナレハ、我モ心ニマカセス、近江ノ国湖水ノ西ニ山アリ、如意輪霊応ノ地ナリ、カシコニイタリ信力ノナトカ叶サルヘキト、チカヒソアラタナリケル、サゝナミノ国ツミカミノ浦ノ波音カトニホノ海カケテ比良ノネヲロシ吹カヨフ夢路ノスエハカハラシトタノム心ハ、タトヘテモ何ト岩ホノ苔ムスフ石山寺ソタツトキ、 比良野大明神出現 君ノ威徳ヲ感シテ、比良ノ大明神只今出現候、此大石ニ伽藍ヲタテゝ石山寺と号ス、サレハ、我朝ハ申ニヲヨハス、他国ヨリ」 (169号文書裏) 「 モ砂金ヲ貢シ候事、有カタク覚候、同東大寺ヲ建立シテ金色ノ仏像ヲ 女 置セハ、天下イヨ〓安穏シテ、万民此御願ヲ仰申ン者也、是モ砂金ノ徳ニテ候、 |
読み下し |
(省略) |
大意 |
古能台本、仮称「比良大明神」。石山寺縁起などを素材とした風流能。 |
紙質 |
楮紙 |
寸法(縦) |
cm |
寸法(横) |
cm |
備考 |
168号文書および封紙の紙背、169号文書紙背、170号文書紙背、171号文書および封紙の紙背にかけて一連の文章(古能台本)が記される。配列、釈読は原本383頁~による。
〓は2文字以上の繰り返し記号(〱)(本文書では凡例とやや異なる対応とした) |
出典 |
『宗像大社文書』第1巻 |
copyright © 2020 世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会 All Rights Reserved.