世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群デジタルアーカイブス

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宗像関連古文書・史料

  • 平太子田地売券/
文書群名 八巻文書第3巻
文書番号 76
文書名 平太子田地売券
和暦 正元元年八月二十九日
西暦 1259年 8月 29日
本文 沽渡進 伊摩社講田参段事
 在、東塔田内友永名田六図三里十坪者。
右、件講田者、平太子相伝重代自給田也。雖然、依有要用、増進御坊〈仁〉直銭柒貫陸佰伍拾文代 〈仁〉、相副次第証文、限永年、所奉沽渡之実也。但於親父手継者、依為連券、不及放与。仍裏書施畢。又向後自然〈仁〉附本給田、有煩者、相共〈仁〉可致其沙汰。尚有難治子細者、以本銭可返進之。若存外〈仁〉子息頼業等中、於有致異論輩者、勘本銭、年々処分弁進之後、可領掌之。仍為後日証文、沽券之状如件。
                  平太子(花押)
  正元々年〈己未〉八月廿九日   嫡子(花押)
                  讃岐坊(花押)
読み下し 沽渡し進らす 伊摩社講田参段の事
 在り、東塔田内友永名の田六図三里十坪者り。
右、件の講田は、平太子相伝重代の自給田なり。然りと雖も、要用あるに依つて、増進御坊に直銭柒貫陸佰伍拾文の代〈に〉、次第証文を相副へて、永年を限りて、沽渡し奉る所実なり。但し親父の手継においては、連券たるにより、放ち与ふるに及ばず。仍つて裏書を施し畢んぬ。又向後自然〈に〉本給田を附し、煩ひあらば、相共〈に〉其の沙汰を致すべし。尚ほ難治の子細あらば、本銭を以て、返し進らすべし。若し存外〈に〉子息頼業等の中に、異論を致す輩あるにおいては、本銭を勘じ、年々処分弁じ進らすの後、領掌すべし。仍つて後日の証文のため、沽券の状件の如し。
                  平太子(花押)
  正元々年〈己未〉八月廿九日   嫡子(花押)
                  讃岐坊(花押)
大意 平太子の重代相伝の伊摩社講田参段を、七貫六百五十文で増進坊に売却した売券で、売却後子息頼業等が妨げをした場合は、代金を返却することを約束している。
紙質 楮紙
寸法(縦) 29.9cm
寸法(横) 40.4cm
備考 原文、「六図」は傍書。
出典 『宗像大社文書』第1巻